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農業の「GAP」とは?メリットやデメリット

やまがたGAPとは?

皆さんが「GAP」と聞くとパーカーなどのロゴが印象的な、とあるアパレルSHOPを思い出すかたも多いのでは。
でも、今回の「GAP」は違います。
実は農業界でもGAPと呼ばれる取り組みがあることをご存知でしょうか。

今回の記事はやまがたGAP、そして農業に関わるGAPについて解説していきます。
以前EDENのすいかを買ったら、こんなラベルがついていたけど、どんな意味?
そう思ったことがある方は、ぜひご覧いただけると謎が解けるはず。

やまがたGAP

農業のGAPは知らない方も、ご自身やご家族の食の安全にも関わる内容ですので、ぜひ読んでみていただければ嬉しいです。

実は「やまがた安全・安心」GAP推進協議会の一員でもある農家の私が、なるべくわかりやすく説明していきます。

農業のGAPとは

農業で言われるGAPとは、消費者・生産者・環境にとって、「Good」な農業の取組のことを指します。
Good Agricultural Practices
の頭文字を取ったもので、直訳すると「良い農業の取り組み」という意味です。
一般的には「農業生産工程管理」と呼ばれています。

※詳細は農林水産省GAP-infoをご参照ください。

農業GAPとは

GAP にはASIAGAP※ ①JGAP※ ②などの種類があり、それぞれの違いは、認証制度の種類のようなもの。
簡単にいうと国際基準か日本基準かのような種類の違いです。
一般財団法人 日本GAP協会 HP参照

 ①ASIAGAP(アジアギャップ)はAsia Good Agricultural Practice(アジアの良い農業のやり方)略。
※ ②JGAP(ジェイギャップ)はJapan Good Agricultural Practice(日本の良い農業のやり方)略。

EDENで認証を受けているやまがたGAP”も同様に都道府県別に定められた基準の一つ。
やまがたGAP”は農林水産省のガイドラインに準拠し、山形県が策定したGAPの第三者認証制度になります。

基準や水準レベル、かかる費用の違いはありますが、基本的には同じような内容の取り組みです。

やまがたGAP

GAPの「Good」な農業の取り組みとは

おそらく多くの方は、農業GAPの「Good」な農業の取組っていったい何?
と思うのではないでしょうか。

ざっくりいうと“農業の持続性に向けた取り組みを総称してGAPと呼ぶそうです。

農業GAP

GAPの具体的には以下のような内容です。

  • 食品安全
  • 環境保全
  • 労働安全
  • 人権保護
  • 農場経営管理

 

ちょっと堅苦しい文字が並んでいますが、内容は意外とシンプル。
それぞれの具体的な取り組み内容を解説していきます。

 【GAPの具体的取り組み】
  • 食品安全

食品安全は、消費者が安心して食べることのできる食品を届けるための取り組み。
異物混入がないように適切に品質を管理し、農薬を適正に使用・保管して消費者の健康被害を防ぐなどの取り組みを指します。
食品安全は消費者が一番気になるところで、一番求めるところではないでしょうか。
農業GAP

  • 環境保全

自然と農業は密接な関係です。農業を持続可能なものにするためには、この自然環境を守っていかなければなりません。
適切な肥料の使用、自然をなるべく破壊しないための配慮、廃棄物を適正に処分するなど、自然環境を守るための取り組みを指します。
農業のGAPとは

  • 労働安全

農場や作業場など、安全に働ける環境づくりのこと。
機械や設備の点検、危険なところがないかを確認したり、保護具の着用を徹底したり、労働環境を整えるための取り組みです。
万が一の事故発生時のために、救急箱などの応急設置対策なども重要です。
農業GAP

  • 人権保護

働く人に強制労働をさせない・労働者に無理のないよう適切な人員を確保する・労働条件を提示するなど、労働者の人権を尊重し、働く環境を整える取り組みのことを指します。
農業のGAPとは

  • 農場経営管理

農場、資材管理や労務管理の各部門の責任者がわかる組織づくりの取り組みです。
担当者を明確にして、それぞれが責任をもって職務を遂行するためにも、教育訓練や内部点検の実施など日頃からしっかり行っていくことが大切となります。

 このようにGAPは、農産物の安全性と品質を確保するために、生産過程全体にわたるさまざまな観点から取り組むことが求められます。

 農業GAPのメリット

ここまでお読みいただくと、GAPは農場内で行われる農業生産工程管理のことなのね。
と、自分にはあまり関係ないと感じる方もいるかもしれませんが、無関係ではありません。

前述した通り、“消費者、生産者、環境にとって「Good」な農業の取組のことをGAP”といいます。

生産者がGAPを取り入れることで、農産物の安全性と品質向上につながり、環境保全で地域環境を守ることにもつながります。
そしてその先の消費者も、安全性や品質の高い農産物を選ぶことができるようになり、自分たちが暮らす自然環境を守ることにつながるのです。

もちろんGAP認証と一言でいっても、農薬の使用や回数などそれぞれの農場で異なるはず。
GAP認証農場だから完全に安心してよいとは言い切れませんが、皆さんが口にする農作物を自分で選ぶための一つの判断基準とすることはできます。
判断基準になるということは、消費者にとってのメリットとも言えるのではないでしょうか。

すいか直送農家になるまで

また、GAPでは農産物の追跡管理が徹底されているため、万が一の事故が起きた場合にも迅速な対応が可能ということもメリットの一つです。 

農業GAPのデメリット

GAPは持続可能な農業のためによい取り組みではありますが、デメリットもあります。
それはまだまだ消費者や生活者の認知度の低いわりに、生産者の負担が大きいところです。

というのも、GAPに取り組む生産者は、農薬や化学肥料の使用量や種類、出荷前の衛生管理、作物の追跡管理など、多くの管理作業負担が必要となります。
さらに、取得に必要な設備や資材の導入や、外部の検査機関による検査費用(※認証の種類によって異なる)など、費用負担も実は大きい。
EDENが認証を受けた”やまがたGAP”の検査費用は低めですが、GAPをするための準備や資材設備などのコスト、管理体制づくりや書類作成に膨大な時間がかかりました。

認証水準があがるにつれてさらにかかるコストは大きくなるでしょう。

GAP掲示物

農業GAPを持続可能なものにするためには、消費者であるあなたの理解が必要不可欠です。
消費者が理解して食の安全や環境保全を求めない限り、生産者もコストや労力負担をかけて継続していくことは難しいですから・・。
 

生産者と消費者のつながり

農業に限らず世の中の市場経済は需要と供給のバランスにて成り立っています。
食品安全や環境保全を自分事ととらえた消費者の理解や需要がないと、GAPの取り組みも広がりません。

すいか直送農家になるまで

持続可能性に配慮した取組を求める2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、選手村などで提供される料理に、GAPに取り組む生産者が生産した農産物が活用されました。
これはSDGsを意識した農業とGAPが注目された事例の一つですが、私はGAPに限らず、持続可能な社会を意識した行動を一人一人が自分事で意識することが大切だと思っています。

すいか直送農家になるまで

まずは、農業のGAPって何?ということを知ってもらい、それがどういう取り組みなのか、自分たちや自分たちの未来のためにどう紐づいていくのか?
を正しく理解し、納得した上で、GAP認証農作物を選んでもらうことが重要だと思っています。

もちろん、理解・納得した上でGAP認証農作物を選ばないこともあなたの自由です。
安全性や品質に関する情報をしっかりと受け取り、それぞれが自己の判断で買うもの選択することで、需要がうまれて市場が広がります。
私たちがどういう商品や農作物を選ぶかで、これからの未来社会がどうなるか決まっていくのです。

 

1人の100歩よりも100人の1

SDGsは「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現のため、2030年までに掲げられている17つのゴール。
壮大なイメージのままだと、なかなか自分事で考えるのは難しいですよね。

個々の力では環境や世界をガラッと変えることはできません。
だからこそ、自分にできることから、コツコツとやっていきましょう。

すいか農家直送

EDENのすいかは“やまがたGAP”認証農作物です。
それを知って、EDENのすいかを買うか買わないかはあなたの自由。

ただ、せっかくEDENのすいかや野菜を買ってくださった方には、届いた農作物に貼ってあるこのラベルの意味を知ってもらいたいと思ってこの記事を書きました。

今の子どもたちの未来が、より豊かな自然環境でありますようにと願いながら、自分たちも農業をしています。
私だけでは無理、EDENだけでも無理なのです。食べてくださる皆様のご理解と応援が必要です。

よりよい未来を一緒に築いていきましょう!

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この記事を書いた人

野菜ソムリエプロ ASUKA

野菜ソムリエプロ ASUKA

EDENの農作物と一緒にぬくもりを、そして野菜ソムリエとしてちょっと役立つ情報をお届けいたします。4人の母で自分自身も消費者として家族の健康を考えた食事にも関心が高いです。