指定野菜とは簡単にいうと何のこと?指定野菜を解説
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指定野菜とは?
今やお弁当には欠かせない野菜のひとつ、ブロッコリー。
最近では国が位置づける「指定野菜」の1つに加わることが決まり話題となりました。
指定野菜に新しい仲間が加わることになったのは約50年ぶりなのも、話題になった要因の一つです。
そもそも「指定野菜」って何のこと?
この記事では
指定野菜とはなに?
指定野菜とはどんな種類?
など簡単に説明していきたいと思います。
国民にとって重要な野菜
指定野菜とは、簡単にいうと”全国的に消費量が多く、国民にとって重要な野菜”と認められたもののこと。
野菜の値段を安定させ、私たちがいつでもその野菜を食べられるように、国(農林水産省)が「指定野菜」と定める制度です。
「野菜生産出荷安定法」という法律に基づき、農林水産省が追加する品目を決めています。
これまでの指定野菜は、
キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、たまねぎ、ジャガイモ、ほうれんそうの14品目。
ここに新たにブロッコリーも加わることが決まり、2026年度から指定野菜は15品目になります。
さらに、「指定野菜」に準ずる位置づけとも言える「特定野菜」というものも存在し、現在はアスパラガスやいちご・えだまめなど35品目が選ばれています。
もともとは、この「特定野菜」にブロッコリーが入っていましたが、今回指定野菜に”格上げ”された形です。
参照:野菜価格安定制度について(農林水産省)
指定野菜と特定野菜の違いって何?
似ているワードで混乱してしまいますが、指定野菜と特定野菜の違いについて簡単に触れておきますね。
指定野菜と特定野菜は”国民にとって重要な野菜と認められたもの”いうところは同じですが、指定野菜は国(農林水産省)が指定し、特定野菜は都道府県単位で都道府県知事が選定しているという違いになります。
指定野菜になると何が変わる?
ブロッコリーが指定野菜になると何が変わるのだろう?と思う方も多いかと思いますが、消費する皆さんにとってはそんなに大きな変化はないと思います。
この指定野菜に加わるということが大きくかかわってくるのは供給側、つまり生産者になります。
指定野菜というのは、野菜生産出荷安定法に基づき、指定野菜価格安定対策事業として取り組まれているものです。
この事業は一般的に消費量の多い指定野菜がなんらかの影響で、農業経営に悪影響を及ぼした場合に、補助金なのでサポートする制度。
簡単にいうと、これらの野菜を生産する農家を国で支えて国民へしっかりと行き届くようにすること。
つまり「消費者への安定供給」を目的としている制度です。
参考:野菜価格安定対策事業の概要
実際に農業は天候によって収穫量や価格が変動することよくあります。
野菜が豊作すぎて一つ一つの売値が下がると、もちろん農家のトータル売上も減ってしまいます。
そんなことが何年も続くと「どうぜ作っても利益が出ないから面積を減らそう」、「作るのをやめよう」と考える農家も出てきてしまうんですよね。
そうなるとどういうことが起こるか。
簡単に言うと・・・
栽培する農家や国全体としての栽培面積が減る
↓
次第にその野菜供給量が減り、野菜の価格高騰につながる
↓
消費者への安定供給が困難になる
そのようなことがないように、消費量の多い野菜を指定野菜に位置付けることで、その野菜の価格が下がった時には、農家の見込み売上の差額に交付金を出して、その後も生産が続けられるようにサポートする仕組みをつくってくれているのです。
私たちが普段何気なく手に取っている「定番野菜」は、実はこのような国の制度で守られているとも言えます。
消費者への安定供給が目的
こういうお話を聞くと、じゃー自分も指定野菜を栽培したら補助金もらえるの!?と思う方もいるかもしれませんが・・・答えはノー。
補助金が出るのは、規模の大きい産地に対してのみ対象となっています。
これらの指定野菜を毎年作る大規模な産地は「野菜指定産地」とよばれ、品目別に産地が定められています。
指定産地として認められるにはいくつかの要件がありますが、2024年2月現在では全国で873の産地が指定されています。
参照:農林水産省・野菜生産出荷安定法について
指定野菜には「指定産地」、特定野菜には「特定産地」があり、それぞれの産地で生産されている場合のみ、交付金の対象となります。
なぜ指定野菜にブロッコリー?
なぜブロッコリーが指定野菜に仲間入りするのか?
それは近年、ブロッコリーの消費量が野菜全般の中で増えているからです。
多くの野菜は、人口減少などが理由で出荷量は減少、または横ばいとなるなか、ブロッコリーは、この30年で大幅に増えています。
参照:作物統計(農林水産省)
お弁当でも使いやすいですし、近年の健康志向の高まりなども後押しして需要が伸びているのではないでしょうか。
冷凍野菜の中でも人気商品になっているようです。確かにお弁当の彩りにもなり、扱いやすいですよね。
まとめ
指定野菜とは、簡単にいうと”消費量が多く、国民にとって重要な野菜”のこと。
私たち国民にとって重要な野菜が、皆さんのもとにしっかり行き届くように国で対策してくれている制度です。
指定野菜になったからといって、消費者にとっては特に大きな変化はないと思いますが、私たちが当たり前に手に入る農作物は、こんな政策にも支えられている事を知っておくのもよいかもしれませんね。
この記事を書いた人
野菜ソムリエプロ ASUKA
EDENの農作物と一緒にぬくもりを、そして野菜ソムリエとしてちょっと役立つ情報をお届けいたします。4人の母で自分自身も消費者として家族の健康を考えた食事にも関心が高いです。