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初心者向け すいかの栽培方法

家庭菜園で楽しむ!すいかの栽培方法

ここでは、すいか農家が初心者さんでもできるすいかの栽培方法について紹介していきます。
すいかの特徴、栽培時期、すいか栽培手順やコツ、さらに起こりやすいトラブルQ&Aなどにも触れていきます。

執筆者の私は山形県ですいかを生産販売している現役農家(販売時期は7月~8月)。
山形県の農業法人(株)EDENのメンバーの一人です。
EDENでは約3ha(ヘクタール)と規模が大きく、ご家庭で同じように栽培するのは難しいと思いますので、
家庭菜園でできるように、すいか栽培の大切なポイントだけお伝えしていきます。
参考にして、ご家庭でもすいか栽培を楽しんでいただければと思います。
すいか栽培

すいかとは

すいかは南アフリカ原産のウリ科スイカ属の植物。
すいかのイメージといえばやっぱり”夏”ではないでしょうか。
夏の風物詩で、熱中症予防にも効果的な果物の一つ。
すいかと一言でいっても小玉や大玉、楕円形のものなどさまざまな品種があります。
また、「すいか=赤」というメージが強いですが、黄色い果肉やオレンジ色など、実はバラエティに富んでいます。
すいか栽培

すいかの栄養素

すいかは90%以上水分といわれていますが、夏場に汗で失われがちなミネラルなどを含みます。
すいかは野菜なの?果実なの?と思われる方もいるかもしれませんが、分類上は「野菜」です。
詳しくはこちらの記事で紹介しておりますので、よかったらご覧ください。
すいかの栄養素

すいか栽培の基礎知識

すいか栽培は暖かい気温を好み、生育適温は25~30℃です。
春になり、十分に気温が上がって霜の心配がなくなってから植え付けましょう。
すいか栽培の植え付け時期の目安はこんな感じです。
すいか栽培の時期
また、水はけのよい畑での栽培が美味しいすいか作りの重要ポイント。

すいか栽培で気を付けるポイント

・生育適温は25~30℃
・水はけのよい土壌がよい
・連作障障害あり(4~5年の輪作※1をするか、接ぎ木栽培で対策)
※1:同じ畑に別の種類の農作物を栽培し、何年かに1回のサイクルで畑を回して使う方法。

すいか栽培に必要なもの

・すいかの苗(接ぎ木だと植えやすい)
すいか栽培:すいか苗

・苦土石灰や肥料(詳しくは後述)

・畝用透明マルチ(農業用ビニール資材):150~200cm幅(畝幅に合わせて)
すいか栽培方法:マルチ

・アーチ型の支柱:1株×2本~(畝幅に合わせて)
すいか栽培方法:すいかトンネル
・ドームテント(トンネル用)用幅広めな農業マルチ(ビニール資材:POフィルムやアグリトップなど)
すいか栽培方法
・ビニールを結ぶ紐(マイカー線など)
→支柱にビニールを巻き付けて結び付けるときに使用
すいか栽培方法:マイカー線
こんな感じでビニールを巻き付けたら、上から紐で巻いて結びつけます。
すいか栽培方法:トンネル
・風で飛ばされないような留め具(農業資材:マルチおさえ等)
→ビニールが風でバサバサ飛ばないように裾を抑えるのに使用
すいか栽培:トンボ すいか栽培:ピン

こんな感じでビニールを上から止めておくのに使います。

・ツルが伸びた先(すいかがをつける部分)にしくワラもしくは農用ポリマルチ
※写真は農ポリマルチを使用しています
すいか栽培:しきワラ

・移植ベラ等→植え付けの際に土を掘るのに使用

すいか栽培の手順

まずは畑の準備。すいか栽培はツルが伸びていくのでできればちょっと広めな畑がよいでしょう。
小玉すいかなら、頑張ればプランター栽培も可能かもしれませんが、大玉すいかは難しいです。
畑の面積は1株につき、最低でも150cm×150cm、できれば200cm×200cm程度を確保するのがおすすめです。
種まきしてすいかの苗を育てることもできますが、家庭菜園なら苗から購入するのがよいのではないかと思います。
品種もさまざまあるので、ぜひ楽しみながら作ってみてくださいね。
すいか栽培イメージ
イメージはこんな感じでしょうか。

①土つくり

すいかは、根がよく伸びるように、よい土環境を作ってあげることが大切です。
クワやスコップで、深さ30cm以上は掘り上げて、土をほぐしておくとよいでしょう。
土をほぐしておくことにより、水はけが良くなり、風通しもよくなります。
すいかは水はけが悪いと病気の原因になりやすい作物です。
すいか栽培:土つくり

⑴堆肥を入れる:植える2〜3週間前

苗を植える2週間くらい前の畑に堆肥(肥料)などをいれて土づくりです。
クワやスコップで、深さ30cm以上は掘り上げて、土をほぐながら堆肥を入れ込みます。
堆肥の投入量は、1㎡あたり約2kgを目安に。

⑵石灰を投入:植える約2週間前

すいかをはじめ、野菜の多くはpH6.0〜6.5程度の弱酸性の土壌を好みます。
苦土石灰を土に混ぜることで、野菜の生育に適した酸度に中和させることができます。
アルカリ性に傾くと生育が悪くなるため、まずはpHを測定し、酸度をpH6.0〜6.5あたりの弱酸性土壌に調整します。
土壌酸度計は安いもので1000円程度、水分や照度レベルも計れる便利なものも2~3千円程度で購入可能です。
こんな感じのもの↓

土に混ぜ込んでから酸度調整の効果が現れるまでに時間が掛かるため、石灰の投入は作付けの2週間ほど前に行いましょう。
苦土石灰100g/1㎡が目安量です。

⑶元肥を投入:植える約1週間前

作物の初期育成に必要な養分を補うため、※2元肥(:もとごえ)を施用します。
堆肥や石灰にも養分が含まれていますが、元肥で土の中の養分バランスを整えて栽培の環境を整えてあげましょう。

【元肥の混ぜ方】
植え付け部分の40~50cm四方の穴を掘り、堀あげた土に肥料を混ぜて穴に戻します。
元肥の量は目安として1㎡当たり、窒素10~15g、リン酸15~20g、カリ10~15g程度。
ホームセンターで野菜や花用の土を購入して使う場合は、「元肥入り」などもありますので、特に比率など心配しなくても大丈夫です。
元肥(特に窒素)が多いとツルが伸びすぎてすいかの実が成りにくくなるので(ツルぼけ)、元肥は入れすぎないようにしましょう。

※2:元肥とは
野菜が育つために必要な、三大要素(窒素・リン酸・カリ)などの栄養が入った肥料のことです。
肥料の三大要素の効果
N(窒素) 炭水化物と合体してたんぱく質を生成し、葉や茎を生長させます。
P(リン酸) エネルギーの移動が植物内で起きる時に重要な働きをし、花付きや実付きを良くします。
K(カリ) 光合成の促進や根の生長、病害虫への抵抗力を強くします。

【肥料の選び方】
肥料は大きく分けて有機肥料と化成肥料に分けられます。
有機肥料→動物の糞、米ぬか、魚骨などからできている肥料
化成肥料→科学的に窒素などを集めて作った肥料
どちらを使うかは、栽培する方の好みやこだわりもさまざまだと思いますが、元肥は長くゆっくり効くほうがよいので、有機肥料をベースとするか、化成肥料でもゆっくり効く緩効性タイプがおすすめです。

②畝(うね)作り:植える約1週間前

土づくりが終わったら畝を立てます。
高めの畝(うね)を作り、畝用透明マルチ(ビニール資材)を張ってすいかのベッドを作りましょう。

畝の幅は150cm~200cm前後、複数の株を植える時は、株と株の間を100cm~150cmずつ取れるように長さを計算して畝を作ります。
畝の高さは15cm~20cmくらいで、少し高めにしておくと水はけもよくなります。
すいか栽培

③トンネル作り:植える約1週間前

次は畝の上に、下記の資材を使ってアーチ型支柱でドームテントのようにビニール資材(POフィルムなど)を張っていきます。
すいかトンネルは、すいかのおうちをイメージします。
すいか栽培
すいかは暖かい気温と水はけのよい土を好むので、すいかが霜や雨から身を守るためのトンネルです。
(春先の強風で飛ばされやすいので、風で飛ばされないような工夫が必要)
すいか栽培:トンネル
EDENの畑はこんな感じですが、家庭菜園なら下記のようなイメージで十分だと思います。
すいか栽培トンネルイメージ
すいかのおうちを温めておくために、ここまでは、すいかを植える1週間前までに作業しておきましょう。

④植えつけ

⑴畝のビニールに10~15cmの穴をあけて、すこし土を掘って穴をあけます
⑵その穴にたっぷり水を注ぎます。
⑶水が引いたら、植え穴に苗を置きます。
⑷土をかぶせて株元をかるくおさえます。
植えつけたら霜に当たったり、トンネルの中が40℃を越えてしまったりしないように温度管理に気をつけながら、根付くのを待ちましょう。
大体1週間程度で活着すると思います。
植え付け時にしっかり水やりをしたら、その後の水やりは不要ですが、寒さに弱いので温度管理はしっかりしてあげてください。
すいか栽培

⑤整枝

苗が根付いたら、グングン成長していきます。
すいかが成り始めるまではすいかのツルを管理を管理していきましょう。
⑴本葉が6~7枚になったらツルの先端を摘み取ります。(摘心)
すいか栽培
⑵ツルが伸びてきたら勢いのよい子ヅルを3~4本残し、残りを摘み取ります。
⑶子ヅルや孫ヅルを摘み取りながら、つるを広げていきます。
すいか栽培
ツルがトンネルビニール近くまで伸びて窮屈そうになってきたら、ビニールを外してすいかを解放。
ツルの先がビニールに当たって折れてしまわないうちに、すいかのおうちのビニールを外します。
すいか栽培
家庭菜園ならこの時点でアーチ型の支柱も抜いてしまって大丈夫です。

⑥着果

すいかの花が咲き始めたら、晴れた日を選んで朝のうちに受粉させます(朝~10時くらいまでの時間が◎)。
真夏のお昼の暑さになると花粉が死んでしまうんだとか。
だから、この時期に低温が続くとなかなか着果しません。気温管理が重要です。
受粉をする際はまず、すいかの花が雌花か雄花かを確認します。
すいか栽培方法:雌花と雄花
写真ではよく見えませんが、雌花には、花の根元に小さなすいかがついているのが目印です。
右が雄花。雄花の花の中心部分には黄色い花粉がついているのが目印です。
雌花と雄花の、中心部がちょっと形が違うのがわかるでしょうか?

美味しいすいかを作るには、15~20節の位置に咲いた雌花に着果させるのがよいようです。
すいかの授粉日は収穫日を判断するのに重要、必ず授粉した日を記録しましょう。

【受粉の手順】
⑴雄花の雄しべを摘み取ります。
⑵ツルの18節以上についた3番目の雌花に受粉させます。
⑶受粉した日記録しておきましょう。
すいか受粉

⑦追肥

実がついたら、畝のまわりに追肥を行いましょう。
1株あたり一握り程度が目安です。

⑧ワラ(農ポリ)敷き

追肥が済んだら、畝周りにワラを敷いてあげましょう。
畝用マルチでも代用可能です。(EDENではワラが足りないので農用ポリ使用)
すいかが直接地面に当たって起こるキズや汚れを防いだり、ネズミ被害や、雨水に浸って割れたりするのを防ぎます。
すいか栽培

⑦摘果

受粉して順調に育ったすいかは、成長した数を収穫することはできますが、摘果して(実を選んでいくつか摘み取ること)あげることにより大きく丸く、美味しいすいかにすることができます。
栽培方法で多いのが
大玉:「子ヅル4本整枝2果どり」→子ヅルを4本残し、果実を2個採りするやり方。
小玉:「子ヅル4本整枝3果どり」→子ヅルを4本残して2番果以降を着果させて3個採りするやり方。
摘果のタイミングは、授粉後10日前後。テニスボール大くらいの大きさで3~4本のツルから最も形の良いものを選抜し、残りを摘み取ります。
小さめなすいかの方がよい場合は、ならせる数を増やすのも良いかもしれません。
上記はあくまで目安なので、自分なりにいろいろチャレンジしてみましょう。

⑧玉直し・さら敷き

すいかは玉の全面が日光に当たらないとキレイに色がつきません。
玉が成長してきたら日が当たっていない部分に日が当たるように角度を変えてあげましょう。
この時に、すいかの下にわらやお皿などを敷いてあげると、お尻が黄色くなるのを防げます。
すいか栽培
↑このように、日が当たらない部分は黄色いのです。

⑨すいかの収穫

すいか栽培で一番疑問に思うのが、すいかの収穫タイミングではないでしょうか。
収穫のタイミングは大玉すいかか小玉すいか、さらにその品種によっても多少異なるので、種袋や苗に書いてあった日数をしっかり把握しておきましょう。
大体の場合は、すいかの受粉日から換算します。
小玉すいかで30日~35日前後、大玉すいかだと35日~40日前後であることが多いと思いますが、
品種により異なり、天候によっても少しずつ変わってくるので、一概にはお伝えしにくいところです。
1つの目安として、すいかは収穫適期になると、すいかの皮の緑が濃くなり、表面につやっと光沢がでてきます。
さらに、すいかが熟してくると直射日光により皮が日焼けしやすくなります。
すいかが過度に日焼けすると過熟になり食味を損なってしまうので、そうなる前に、種袋や苗に書いてあった日数あたりでまずは1個食べてみましょう。

すいか収穫

すいか栽培のトラブルQ&A

Q1:すいかの実が成らない
A.→元肥が多いとすいかのツルだけ元気であまり実が成らないという現象がおきます。
いわゆる”ツルぼけ”と呼ばれる現象です。
ツルの成長が落ち着くと、時期が遅れて着果できると思うので、整枝をしっかりしながら気長に受粉していきます。
次のシーズンにすいか栽培する場合は元肥を控えめにしてあげるましょう。
また、着果の時期に気温が低い日が続くとなかなか着果しにくくなります。
こちらも、気温が上がれば同じように時期が遅れて着果できると思うので、整枝をしっかりしながら気長に受粉していきましょう。

Q2:実の形がいびつ
A.→受粉が不完全です。ハエやミツバチで受粉する場合もありますが、人工授粉することで確実に受粉させることで改善できます。
また、実が大きくなってきたら玉直ししてまんべんなく日を当ててあげると、全体が緑色に色づいた形の良いすいかになります。

Q3:果肉が白っぽい
A.→収穫が早すぎた可能性があります。
人工授粉した日から換算して収穫日の目安近くまで待ってから収穫しましょう。
未熟すいか

Q4:果肉が崩れ、粉っぽい
A.→収穫が遅れの可能性があります。
人工授粉した日から換算して収穫日の目安を把握しておきましょう。

Q5:割果・裂果(スイカが割れている)
A.→急な雨が続くと起こりやすい現象です。
乾燥が続いたあとに急な降雨があると、実が水分を得て内側から一気に肥大するのに、果皮の成長がついていけず、裂けてしまう場合があります。
張り裂けたすいかは腐敗して虫がわいたり病気の原因になるので取り除きましょう。
まだすいかのツルが元気で、花が咲くようなら受粉して次の玉の着果を目指しましょう。
すいか亀裂

Q6:つるが枯れてきた
A.→おそらくつる枯れ病です。
ツルが完全に枯れてしまう前に収穫した方が良いかもしれません。

Q7:すいかにニキビの様なボツボツができてきた。
A.→おそらく炭疽病です。
食べても問題ありませんが、すいかが傷みやすいので早めに食べましょう。

他にも、すいかはに起こりやすい病気に「疫病」などもあります。
収穫時にきれいなすいかでも、疫病にかかっていると数日後に急に半分腐敗する、という現象が起こります。
いずれもすいかの栽培過程で高温多湿の条件が続くと出やすい病気です。
マルチで地熱が上がり過ぎないようにして、整枝を行って風通しを良くすることが予防に繋がります。

Q8:すいかがかじられているorつつかれている。
A.→たぶん鳥獣害です。ねずみかモグラか、カラスの仕業ではないでしょうか。
カラスだと防長糸を畑の上に張ることで被害を防げます。
すいか栽培:カラス対策
畑の四隅にいぼ竹を立てて、畑の上を囲むように防長糸を張りましょう。
見えにくいので、人間が歩いたときに引っかからないように要注意です。

すいか栽培方法まとめ

いろいろと面倒なことも書いてきてしまいましたが、結局は美味しいすいかが収穫できればそれでOKです。
すいかは栽培方法はポイントをおさえれば初心者さんでも気軽に取り組むことができます。
天気や病気にさえ気をつければ、放任でもすいかが実る事もありますので、
今回の記事は参考程度に、お気軽な気持ちでぜひチャレンジしてみてくださいね!

そして、自分で栽培して収穫できたすいかはまた格別おいしいとおもいます。
もしたくさんのすいかが収穫できたら、アレンジレシピも紹介しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

すいか農家直送

 

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この記事を書いた人

野菜ソムリエプロ ASUKA

野菜ソムリエプロ ASUKA

EDENの農作物と一緒にぬくもりを、そして野菜ソムリエとしてちょっと役立つ情報をお届けいたします。4人の母で自分自身も消費者として家族の健康を考えた食事にも関心が高いです。